このQ&AはTwitterの質問箱等にお寄せいただいた皆様からのご質問について、キダハミの中の人が自らの経験などに基いてお伝えするものです。
<勤務条件(給与・諸手当)・福利厚生等>
Q1-1.基本的な情報はどこを見ればよいですか?
<勤務時間・休暇・ワークライフバランス>
Q2-1.勤務はシフト制ですか?土日祝の勤務はどれくらいの頻度で回ってきますか?
Q2-2.残業があるかどうかや、休みの取りやすさについて知りたいです。
Q2-3.コロナ禍でのテレワークや時差出勤の働き方はありますか?
<異動・勤務地>
Q3-1.配属先はどのようにして決まるのでしょうか?数年ごとに異動になりますか?
Q3-2.異なる大学への転勤はどのくらいの頻度であるのでしょうか?
<キャリアパス>
Q4-2.大学図書館員のキャリアパスがまったくピンとこないので教えてください。
<採用試験について>
Q5-1.図書系専門試験に向けて具体的にどのような勉強をしましたか?
Q5-5.大学図書館の仕事で求められるスキル、今後新たに求められることを教えてください。
Q5-6.司書課程を受けたことがなく、図書館に関する専門知識が皆無です。独学で専門試験の対策することは可能ですか。
<転職について>
Q6-2.民間企業で働いていて、子供が1人います。大学図書館への転職を考えていますが、子持ちだと面接等で不利でしょうか。
<スキルアップ・研修制度>
Q7-1.働かれている方はどのように自分のスキルアップをしているのか教えてください。
Q7-2.大学図書館で働くことで、どんなスキルが身につきますか?
<やりがい・評価制度>
Q8-1.仕事のやりがいを知りたいです。
Q8-2.公共図書館と大学図書館では、仕事内容にどんな違いがありますか?
<勤務条件(給与・諸手当)・福利厚生等>
Q1-1.基本的な情報はどこを見ればよいですか?
A.採用を希望する地区や国立大学法人のウェブサイトをご確認ください。
例えば近畿地区の場合ですと、近畿地区国立大学法人等職員統一採用試験事務室「国立大学法人等職員統一採用試験関連情報」https://kinki-ssj.adm.kyoto-u.ac.jp/work/fukurikosei/ に、通勤手当,住居手当などの諸手当や,国家公務員と同様の健康保険や生活に関する制度,積立や年金等の福利厚生のことが記載されています。
※詳細については各国立大学法人等にお問い合わせいただく必要があります。
<勤務時間・休暇・ワークライフバランス>
Q2-1.勤務はシフト制ですか?
土日祝の勤務はどれくらいの頻度で回ってきますか?
A.勤務時間は原則1日7時間45分で完全週休2日制ですが、利用者サービスを担当する部署では、開館日時に合わせて勤務日や勤務時間帯を変更する場合などもあり、勤務する大学によって異なります。
土日祝・夜間の開館については、時間外専任スタッフ(アルバイト等)や業務委託などで対応している館もあります。
Q2-2.残業があるかどうかや、休みの取りやすさについて知りたいです。
A.もちろん部署や時期にもよりますが,比較的に定時退勤が多く,日常的な休暇も取得しやすい環境です。土日祝日以外に年20日付与される年次有給休暇のほか、夏季・結婚・産前産後等の特別休暇,病気休暇、育児休業,介護休業、時短勤務など休暇・休業制度はしっかりしており、男女問わず多くの方が取得しています。
Q2-3.コロナ禍でのテレワークや時差出勤の働き方はありますか?
A.図書館には資料と施設、設備があるので基本現場が多いですね。コロナ禍が始まった2020年度の春には、多くの館でテレワークや時差出勤も試みられましたが、まだ定着しておらず課題になっています。現在も多くの大学が働き方改善、DX活用推進を計画していますので、大学全体として環境が整っていくにつれ、担当業務によっては導入の余地が生まれてくると思います。
なお、子育て世代では、時差出勤を活用している人も多くいます。
<異動・勤務地>
Q3-1.配属先はどのようにして決まるのでしょうか?数年ごとに異動になりますか?
A.配属先の決まり方はいろいろ。適材適所はもちろん、人材育成の観点からさまざまな部署の経験を積めるよう、本人の適性や家庭の事情などたくさんの要素が考慮されます。その時々の状況に応じた配属になりますので、ひと言での説明は難しいです。異動の周期も一概には言えませんが、3年くらいの間隔で異動することが多いように思います。
Q3-2.異なる大学への転勤はどのくらいの頻度であるのでしょうか?
A.所属する大学によっては、近隣大学・文部科学省などとの人事交流の機会があります。(2年から3年程度) 交流機会は、本人の希望と機関の養成方針に依るため、交流先や回数はいろいろです。 また、キャリアパスとして、課長職(管理職)になると、他大学への異動の機会が多くなります。
<キャリアパス>
Q4-1.昇進はどのような仕組みですか?
A.大学によりますが,昇進には係員・主任・係長(専門職員)・課長補佐(副課長)・課長・部長という過程があります。第一には本人の希望によりますが,上司の推薦なども参考に能力に応じて行うことになっており,面接などの選考が行われることもあります。
課長補佐までは基本,採用された大学で勤務することが多く,課長になると3年程度の期間で他大学に移ることが多いです。
Q4-2.大学図書館員のキャリアパスがまったくピンとこないので教えてください。
A.ジェネラリストを目指すか,スペシャリストになりたいか、職階の目標があるのか等により,必要な経験やルートも様々です。スペシャリストとなれば、教員の片腕となって教育や研究に関わっていくことも。ジェネラリストとなると、図書館を経営の観点からみて、業務を行うこともあります。
職員の中には,修士から図書館職員になった者,地方公務員からの転職,他業種からの転職者は比較的多くいて、私も民間からの転職経験者です。中には,研究生活に戻る方や,転身して大学教員やURA(大学リサーチ・アドミニストレーター)になった方もいますよ。
<採用試験について>
Q5-1.図書系専門試験に向けて具体的にどのような勉強をしましたか?
A.二次試験は、専門試験(筆記)と面接試験で構成されており、どちらにおいても大学図書館と学術情報流通の動向に関する理解や関心は重要なポイントです!
大学図書館のほか高等教育や学術研究に関連する近年の政策文書に目を通しておくと筆記対策にもなりますし、そこから見える課題を自身の長所や目標と絡めて整理しておけば面接対策にもなりますよ。
キダハミメンバーによるおすすめの二次試験対策はこちら!
★過去問・問題集の活用
・過去の図書系専門試験問題 https://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/mainlib/examine/
・「図書館職員採用試験対策問題集:司書もん(後藤敏行(著)図書館情報メディア研究会)」
・「国立大学法人等職員採用試験攻略ブック(実務教育出版)」
★政策文書やシンポジウム、セミナー等による情報収集
・科学研究や高等教育に関する政府(内閣府、文部科学省など)の文書
(例)
・第6期科学技術・イノベーション基本計画(内閣府)
・統合イノベーション戦略2023(内閣府)
・我が国の学術情報流通における課題への対応について(審議まとめ)(文部科学省科学技術・学術審議会情報委員会ジャーナル問題検討部会)
・オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方について(審議のまとめ)(文部科学省科学技術・学術審議会情報委員会オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会)
→大学図書館を取り巻く情勢や社会動向について学ぶ
・国立大学図書館協会、大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)、オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)、これからの学術情報システム構築検討委員会のウェブサイトに目を通す&これらの組織が主催する公開のシンポジウム・セミナー等への参加
→これらの組織の課題意識や取り組みなどについて学ぶ
・国立情報学研究所(NII)、科学技術振興機構(JST)、国立国会図書館(NDL)およびこれらの機関が提供する情報サービスのウェブサイトに目を通す&各機関が主催する公開のシンポジウム・セミナー等への参加
→これらの機関が現代の学術情報流通において果たしている役割について学ぶ
・日本図書館研究会,大学図書館研究会等が開くシンポジウム・セミナー等への参加
→図書館の理解を深めるとともに同志や先輩を見つけることができる
・国立国会図書館カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/
→最新の図書館ニュースを知ることができる
★おすすめの勉強法
①まずは過去問を見る。
②過去問の内容に関連した『司書もん』の問題を解いてみて、解説を読み込む。
③必要に応じて過去問の内容に関連する政策文書や関連機関のウェブサイト、図書館情報学の教科書の該当箇所を読む。
※上述のシンポジウムやセミナーに参加するのもオススメです。
④過去問を解いてみる。
Q5-2.おすすめの面接対策を教えてください。
A.図書館員ならでは、ではなく、一般的な回答になってしまいますが……。 面接の練習をするときの様子を動画で撮影してみると、様子を客観的に見られるのでおすすめです。 思ったより顔がこわばっている…!などの発見があります。中の人(Nia)もこれを実践していました! もし可能なら家族や友人に頼んで面接官役になってもらって練習すると、だんだん慣れて緊張感が少なくなってくるのではと思います。
Q5-3.選考に司書資格は必要ですか?
A.司書資格は公共図書館の専門家となるための資格。大学や雇用形態によりますが、国立大学図書館の職員採用では基本的に求められません。実際に、司書資格を持たずに合格した職員もいます!
国立大学図書館では、大学の環境に適した素養がある方を採用するため、地区の統一採用試験や大学独自採用試験を設けています。
Q5-4.選考に英語のスキルはどれくらい求められますか?
A.大学図書館のお仕事では、英語での利用者対応、広報など図書館制作物の英訳、英語論文の検索と内容把握、海外調査など、英語力が幅広く必要になってくると思います。
CEPRでいうとB以上くらいでしょうか。ただし資格は求めていません。
また、就職後からでも、スキルアップは可能です。英語力を高める研修などが準備されている大学も多くあります。
Q5-5.大学図書館の仕事で求められるスキル、今後新たに求められることを教えてください。
A.PCの基本操作、語学力、コミュニケーション能力といった基礎的能力のほか、図書館業務の多様化に伴い、IT、データサイエンス、プログラミングなどの必要性も高まってきています。
しかし、必ずしも即戦力を求めている訳ではありません。自分で見て、聞いて、身につけていく力があることが重要と思います。スキルももちろん大事ですが、色々習得していきたいというポジティブな気持ちを大事にして欲しいです。
Q5-6.司書課程を受けたことがなく、図書館に関する専門知識が皆無です。独学で専門試験の対策することは可能ですか。
A.過去問を見て、関連する情報を入手することで、独学でも対応はできます。
なぜなら、専門試験では、司書課程教育での専門知識(主に公共図書館向け)のみが問われるわけではないからです。
大学図書館で働くために必要な知識を問うので、高等教育機関における学術情報や教育研究支援に関する理解が求められ、社会や政策の動向、英文読解などの比重も大きいです。
ですので、まず一度、専門試験でどんな問題が出題されているか、過去問を見てみることをオススメします!
※各地区のホームページに過去問が載っています。近畿地区のHPはこちら↓
https://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/mainlib/examine/
ちなみに、独学でできるキダハミメンバーの勉強方法は、Q5-1にも掲載されています。ぜひご参照ください!
<転職について>
Q6-1.社会経験の浅い転職者は採用されにくいでしょうか?
A.経験は就職してからでも身に付きますが、生来のやる気は付けようと思って付くものではありません。 「研究を支えたい」という質問者さんの熱意の方が重要に思います! 転職者の中でも経験は多寡があり、採用にあたって、経験の長さによって有利・不利ということはないと思います。 実際に、社会人1年目ですぐに現職に転職した職員もいますよ。
Q6-2.民間企業で働いていて、子供が1人います。大学図書館への転職を考えていますが、子持ちだと面接等で不利でしょうか。
A.ぜんぜんそんなことありません!大学図書館でも、子育てをしながら業務をこなしている人は多いです。
子育てと仕事を両立していることを、逆に強みと思われてはいかがでしょうか。
<スキルアップ・研修制度>
Q7-1.働かれている方はどのように自分のスキルアップをしているのか教えてください。
A.所属大学の職員研修から図書系専門の研修まで、様々な研修への参加機会があります。
大学図書館業界は横のつながりも強く、研修を通じて他大学の図書館職員と触れ合う機会もあり、とても良い経験になります。海外派遣事業なども充実しており、希望すれば海外の図書館に調査に行く機会を得られる場合もありますよ。
Q7-2.大学図書館で働くことで、どんなスキルが身につきますか?
A.利用者ガイダンスやレファレンス業務による「情報リテラシー」,「情報検索能力」,情報セキュリティ・ソフトウェア・情報ネットワーク等に関する「システム関連の知識」,英語力,プレゼン能力,コミュニケーション力,調整力など様々なスキルを身につけることが可能です。
<やりがい・評価制度>
Q8-1.仕事のやりがいを知りたいです。
A.利用者の求めに応じた際には「ありがとうございました」という、感謝の言葉をいただける職場です。それを励みに、どうすればより良いサービスを提供できるかを日々考え、業務改善や新たな企画考案につなげています。
また、若手が率先して企画提案を行いやすい環境で、部署横断的なWG(ワーキンググループ)などで活躍する場も多いことも特徴だと思います。このキダハミを運営している私たちも大学の枠を超えて活動しているメンバーです!
Q8-2.公共図書館と大学図書館では、仕事内容にどんな違いがありますか?
A.簡単に違いを書き出すと、このようになります!
★公共図書館
【目的】国民の教育と文化の発展に寄与すること
【基づく法律等】図書館法
【主な利用者】設置自治体の住民全般
【仕事内容と特徴】
・図書の提供が中心
・行政の情報公開や知る権利の保障
・住民向けイベントや郷土資料の保存公開など地域に根差した活動
★大学図書館
【目的】学術情報や教育研究上必要な資料や環境を整備し、学生・教員等に提供すること
【基づく法律等】学校教育法・大学設置基準
【主な利用者】設置してる大学の学生・教職員
【仕事内容と特徴】
・情報の提供が中心(本の形になっていない「データ」を取り扱うことが非常に多い)
・学生の学習や調査研究のサポート
・教職員への研究支援
・大学で生産された情報の発信のサポート
なお、2023年2月10日開催のトークイベントでも同様のご質問があり、そちらではまた別の視点から公共図書館と大学図書館の違いについてお答えしています。
Webサイトのdigestにて公開しておりますので、ぜひチェックしてみてください!
https://www.kidahami.com/digest